逃げる女

前にこの悪夢を見たのは、杉田さんに好きだって告白された日だった。



『返事は今すぐじゃなくていいから、少し考えてみて。』


バイト帰り、家まで送ってくれた杉田さんにそう言われたのは今年に入ってすぐの事。



突然の事で、固まってしまった私に杉田さんはそう言ってくれた。




嬉しかった。



杉田さんは私より４歳年上で、調理師の専門学校を出た後、一旦は別の店で就職してたが、２年前岡島君より３ヶ月位先に再就職先としてあの店へ来た。



杉田さんと一緒に働いた期間は２年と少し。


少し無口な杉田さんと、私。


あまり会話らしい会話はした事がなかった。


けれど杉田さんが出す、静かな雰囲気が私は心地よく感じて、嫌いじゃなかったのだ。


告白された時に私も、杉田さんに少なからず興味を持っていると気付かされた。

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