逃げる女
けれど…好きなのかと誰かに聞かれたら、答えに困ってしまう。


嫌いではない。
まだ好きと言えるまで、私の気持ちはそこまでいっていない。



それでも…これからどんどん好きになっていけるような予感はしていた。


なんて返事をしようか。



杉田さんの事を考えると少しドキドキしながら、その日は寝た。






そして、あの悪夢を見てしまったのだ。




『アイツ、自分が彼氏なんて出来るなんて思って馬鹿じゃねぇ?』


笑って言ったクラスメイト。同意する意味で沸き上がる笑い声。その時、君も一緒になって笑っていたんでしょう?



そして、その言葉が足枷になって、杉田さんへの返事を今になっても出来ずにいる私。



.
< 86 / 197 >

この作品をシェア

pagetop