逃げる女
『朋美、顔色悪いな…体調悪いのか?』


店長はするどい。夢見の悪かった私は気分が悪く、食欲もまるでなかった。


お客の食べ残した食器を片付けようとした時、少し気持ち悪くなっていた。



「少しだけ。寝不足なだけですよ。夜更かししちゃったから。」


適当に返して、店長から離れる。


『片付けはいいから、カウンターに座ってろ。温かい飲み物でもだしてやる。』







そして出された、ホットココア。
甘い香りが気分を和らげる。



「おいしい…」



『何かあったか?』



「ううん。」


奥さんの出産も控えてるのに、店長にはこれ以上心配かけたくない。



『あんまり、1人で溜め込むなよ。言いたくなったらいつでも聞いてやるからな。』



片付けをしながら言う店長。



ありがとう…。本当、お父さんみたいだな。


店長の優しさに救われた私に、これから起こる出来事なんて、予想すら出来なかった。


これから、悪夢が現実でも続くなんて…

思ってもみなかった…


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