逃げる女
入れ代わりで、店長が中に入ってくる。


「店長…すみません。」


『いいから座ってろ。水持ってきた。』


立ち上がろうとする私に水を手渡す。


『…落ち着いたら…家に帰るか?』


「少し休めば平気です。
…今いるお客が帰るまで…ここに居てもいいですか?」


『わかったよ。無理だけはするな。帰りたかったら、帰るんだぞ。』





店長には私の過去を話している。気付いたんだろう、彼等が昔、私が痩せようと無理をしてた理由だと。


忙しくなる前に彼等が店を出て行ってくれる事を願うしか出来ない。






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