10年片思い

見えない再会

再会は思いがけずやって来た。



結婚して3年。
仕事を辞め、地元を離れて専業主婦になった。
なかなか子どもに恵まれず何度も不妊治療をしてやっと授かった可愛い娘は、いつの間にかやんちゃな女の子に育っていった。

慣れない子育てで悩んでいた私は、近くにある子育て支援サロンに通い、ママ友とおしゃべりしてはリフレッシュしていた。

ある日、ママ友のリカちゃんから『ねぇねぇ、ワコちゃんもこれやってみなよ!』と紹介されたのが、日記やつぶやきが書けるというSNSだった。

飽きっぽい私には続くわけないと思って『ムリムリ!多分、次の日には終わってるよ。』と笑って返した。

『そう言わずにやってみなよー。自分が書かなくてもみんなの見てるだけで楽しいし同じ悩みもってるママ達もいるから勉強になるよ。』

みんながどんなことで悩んでるのか気になった。
軽い気持ちで登録したこの場所が、後々、私の心の奥底に眠っていたものを呼び起こすことになるとはこの時は思いもしなかった。



家に帰って夕飯の支度、子どもとお風呂。

旦那は毎日帰りが遅く、朝と寝る時以外はあまり顔を合わせることがない。

子どもを寝かしつけ旦那が帰ってくるまでの時間が、唯一ひとりの時間。

そうだ、リカちゃんから教えてもらった『あの場所』に行ってみよう。


ココ(SNS)では本名ではなくニックネームで呼び合う。
周りのママ友はみんなココで育児日記を書いたり写真を公開したり。

みんなこうやってママ友作ったり悩みを相談したりしてるんだ。

コミュニティもある。
趣味や好きなものの他にも出身地や学校などがあり、いろんな人が参加していてコメントを読んでいくと面白い。

私も懐かしくなって、卒業した母校のコミュニティに参加した。


『○○年卒業の人集まれ〜!』

早速覗いてみた。
先生の話とか、地元の話とか。
書かれているのはニックネームだけど、『あの人かな?』と何となくわかる人もいた。


使い方も良くわからない私は、その後数日放置していた。

ある日、メールが来た。
『メッセージがあります』

何だこれ?と思いながらもメッセージを読んでみた。『プロフィール見て同級生だったんで誰かなぁと思ってメールしました。』


誰かなぁって…こっちのセリフですけど。

誰よ?とニックネームを見てみた。

『ショウ』


誰だ…

記憶を辿るけど思い出せない。
どうやら男の人らしい。

『すみません、思い出せないんですけど…私と話したことあるんですよね』

何とも失礼な返事だが、聞いてみた。


数分後、返事が来た。

『○○高校だった青山です。』




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