双子×双子
「これはもー誘ってるとしか思えないねー♪」


その言葉に反応し顔を上げると悠祐は一歩、また一歩と近づいてくる。恭祐は狭く逃げられない中を必死に頭の中で思案しながら逃げ道を考える。身体が段々強張っていくのを覚えた。


「!!悠祐…。」


恭祐は乱れた服を少しでも直そうと手を動かす。その瞬間その手は壁に押さえつけられ身動きが出来なくなった。逃げようと必死に身体を捻らせる。だが抵抗も虚しくキス1つで抑えられてしまった。


「っ!んっ…っはっ…悠祐…誰かくるぞ。」


1つでも逃げられる術を考えやはり言葉しかないようだ。


「知ってるよ。」


その言葉に重なるように幾つかの話し声と足音がトイレの中へ響き始めた。


「なーなー。あの〜か…風〜風〜なんだっけ。」
「風岡?」

「あーそうそう。あの先生。俺マジ嫌い。ウザい。」

「俺もー。」

「俺は何とも思わねぇな。」

「えー。マジかよ〜。」


声からすれば3、4人といったところか。2人は入ってきた音を聞いてから息を呑み動きを止めていた。いつの間にか悠祐の手の力は抜けており、恭祐は痛みから解放された。そして入ってきた生徒達の会話中、悠祐は恭祐の頭上の壁に腕を置き耳元に顔を近づけ囁いた。


「ねぇ恭祐…このまましてい?恭祐だってまだイけてないでしょ…声聞かせてやろうよ。」


悠祐は攻モードに切り替わると恭祐と呼ぶようになる。これは初めて交わった時がきっかけだった。あれから変わらず攻モードへ替わった時は恭祐を呼び捨てで呼ぶ。本人はさておき恭祐はそれを当然知っている。


「いい加減にしろ。俺はやらない。あいつ等が去れば出て行く。」


「そんなこと言わないでよ。スリルハンパないよ〜?」


冷たい視線と妙な笑顔がかち合う。男子数人が絶えない話を続けているため小さな声ながら話し続けられている。悠祐はそんな中恭祐が直しきれなかった服の中へ手を入れた。


「!!…っ!…俺には…関係ない。…っ…どけろっ。」


逃げるどころか声を抑える方が必死だった。悠祐を退かそうと押すが力がうまく入らず眉を寄せる。
その行動を見た悠祐は気に入らないと言わんばかりの顔をしていたが次の瞬間には何かを企む顔で口元が歪んでいた。
その顔を見てしまった恭祐は目を見張った。その瞬間股に足が押し付けられた。その動きに身体が反応し跳ね上がる。それと共に我慢していた声も発せられた。


「っあ!っはっ…あぁっ…」




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