双子×双子
神無はふふんと鼻を鳴らして笑顔で見上げる。その笑顔に顔が引きつり空いた手で物を払うように追っ払おうとする。


「来るな!…うっ…くそっこうなったら…仕方ない…。…なぁ悠祐…なんでも言うこと聞くから…あいつら帰してくんね?」


神無は引く気を一切見せなかった。それに負けた恭祐は今度は悠祐に目を向け甘い声で少し上目遣いを試みる。


「!!なんでも?」


「あぁ。」


内心ホッとしていた。あぁこれで解放されるのだと。だがそれは違った。


「んー分かった。何でも聞くって言うならーそうしよっかな。……とでも言えって?」


「?!」


「やーだよっ。こーんな楽しそうな機会滅多にないよ〜?楽しもうぜ☆恭ちゃん♪」


「!!」


笑顔でいるが目が笑っていなかった。物事を企んで楽しんでいる目だった。恭祐は逃げ場を失ってそのままされるがままに連れて行かれた。


「さぁさぁさぁ。どうぞどうぞ。」


悠祐は恭祐の手をしっかりと握り半ば強引に引っ張りながら部屋のドアを開け放った。それに続くように次々と部屋に入っていく。


「お邪魔しまーす。」


(本気でやるつもりなのか?悠祐のやつ…)


悠祐は部屋に入るとベッドまで真っ直ぐに進み恭祐を放り身に付けていたネクタイを解きながら恭祐の上へのし掛かる。そして体勢を整えようと必死になっている恭祐の腕を掴みキツく縛った。恭祐は少しでも緩めようと手首を動かす。動きに応じて言葉を発する。双子は部屋を心配そうに覗いている。


「うっ…っ!!…悠祐!何すっ…やめろっ!!解け!…頼むから。」


「その辺にでも座ってて。今から恭ちゃん鍛え直す♪」


付いてきた双子の1人はさっさとベッドの側にちょこんと座り、もう1人は足取り鈍く入るのに戸惑っていたが弟に手招きされ、その隣に座り傍観者となった。


「おい!本気か?!…冗談…だよな?」


「ここまできて何言ってんの〜?やるに決まってんじゃん。」


乾いた笑いで誤魔化そうとするがそれは最早悠祐には届かず悠祐は悠祐でノリノリだった。


「悠祐!…み…見てる…」


双子に目線をやりながらなにか止める理由を探す。


「当たり前じゃん。見せてるんだから。」


小癪な手は通じる事なく見事にスルーされた。手を縛られそれを頭上で押さえられ悠祐に股を許した格好に恥ずかしさを覚え必死に抵抗を試みる。


「み…見るな!っちょっ悠祐!やめろ!…っこのっ!」

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