双子×双子
「あーあー動いちゃダメダメ。痛くするよ〜?」


「!!…っくそっ…」


悠祐は有言実行なやつだ。だから痛くするっていう言葉も本気だろう。目からも言葉からもそれが窺える。恭祐は吐き捨てるように悔しさを滲ませ顔を背けた。それを見て悠祐はぱぁっと顔に笑みを浮かべた。やはり偽物の笑顔だと恭祐は感じた。


「そうそう。やれば出来るじゃん。じゃあご褒美に気持ちよくしてあげる。」


「いい、いらない。」


とても気分を害したかのように端的に返す。


「そんな遠慮しないでよ。」


「遠慮なんかっあ!…っ…ぅあっ…んっ…く…」


まだ言葉でなら勝てると気を抜きすぎていた。だが動きはすでに封じられていたために侵攻を許してしまっていたのだ。恭祐は不意に攻められ人前で変な声を上げてしまった事への恥辱で顔を瞬間的に赤らめそして次の瞬間には声を抑えようと力を込め必死になっていた。


「なーんだ。やめろとか言いながらノリノリじゃん。」


「はっ…くぁ…違っ…っ…いっ…ゆ…や…手…痛…っはっ!…くぅっ…」


「ダメだよ。逃げるじゃん。」


「あ…つら…っ…追…出して…んっ…く…れ…たら…逃げな…から…はぁっ…」


「それはダメだよ。このままだったらスリルあっていいじゃん。見られてる快感っての?恭祐、諦めなって。」


巧みに動かす悠祐の手は自分の弱い部分に触れていた。動く手と同調し発してしまいそうになる声を抑えながら必死に訴え止めようと試みる。だが全て悉く返され為す術を失いかけていた。言葉と共に悠祐のスッと細めた目の色が変わる。このままではダメだと意を決しスッと目を閉じる。荒い息づかいと歪んだ顔でジッと耐えようとする。そしてゆっくりと目を開け強い眼差しで目の前にいる弟を睨む。


「このままで済むと…っ…思って…いるのか?…止めないと…お前の…あの事…言うぞっ…っ」


「…あの事?何?」


やっと自分の言葉に突っかかってきた。そう思った瞬間不敵な笑みを浮かべた。そして余裕を装う。


「どれ…っ…言って欲しい?」


「何かあるの?」


「あるよ。…たっくさん。」


「例えば?」


悠祐は少し戸惑いがちに問う。その証拠に目は左右に動いている。悠祐は自分の思い当たる節を必死に探そうとする。


「いいのか?…大きな声で言うが…お前の…っ…恥ずかしい事…クスッ」


「!!…何…言うつもり?」

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