双子×双子
「分かればいいよ。あとは水無の態度次第だからね。悠祐先輩とどうなるかは。」


水無の頭に疑問符が浮かぶ。そんな兄をよそに言葉を続ける。


「こんな事があっても悠祐先輩に近づくなら僕は知らないよ。知ってて近づくなら助けもしない。水無が何もしてない=悠祐先輩に対して関心を持たないのに近づいてくる、なら助ける。さぁ水無、僕を選ぶか、先輩を選ぶか。」


水無はすぐには答えなかった。ただ唸り目線が神無と悠祐を行き来しているだけだった。そして下を向き視線を彷徨わせながらゆっくりと神無に目線を戻す。


「僕は…、選べない。神無は僕の弟で大事だし、先輩はせっかく仲良くなったのに…」


その言葉に神無は何か吹っ切れたかのような口調で返す。


「そぅ…なら僕は恭祐先輩を選ぶ。」


「え?」


唖然とした。神無の口からそんな言葉が出るとは思ってもいなかった。


「水無の選択次第では諦めようと思ってたんだけど諦められなくなっちゃった。水無が優柔不断だから…水無はA型の典型的な模範だよね。そういうところ。」


「神無が悪いでしょ?!僕は誰ともすれ違ったままで過ごしていたくない。神無とも先輩方とも仲良くしていたい!」


呑気な言葉を投げかけられ水無は耐えられず逆ギレしていた。だが次の瞬間にはそれは訴えへと変わっていた。


「人の気も知らないで…」


「知らないよ!」


「もういいよ。水無なんか勝手にすればいい。悠祐先輩に丸め込まれちゃえばいいんだ。」


「それってどういう事?!僕がいけないって言うの?!」


「そうだよ。悪いのは水無だ。」


罪の擦り付け合いだ。せっかく収まりかけた所を必ず抉る。傍観者の2人は見ていて見苦しいと感じた。そしてこのまま続けば手遅れになりかねないと踏んで呆れた口調で止めに入る。

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