双子×双子
日付が変わり明朝4時頃────


2人は同じベッドの上で荒い息を少しずつ落ち着かせている。恭祐はうつ伏せで肘を付きその上に顎を乗せ、悠祐は自分の手を枕にして仰向けになり恭祐とは正反対の方を向いている。


「初めての時もこうだったよな。」


「え?…あぁ…うん。そうだね。」


「こうやって力尽きて突っ伏していた。」


「うん。懐かしい。」


「まだあの時はガキだったな。」


「うん。興味本位で始めたしねー。」


いつもと同じ会話だったがいつもと違う会話でもあった。こんなにゆったりとした時間が流れていると思えるのは久々な事だと感じている。そしてふと恭祐は口にした。


「…俺、やはりお前でなければならないみたいだ。」


「…え!?…ホント!!?」


悠祐はピクッと反応した後思いついたように身体を起こし恭祐に更に近づく。


「あぁ。」


恭祐はその行動を予想していたのか相変わらず冷静に返す。次の瞬間悠祐の表情は凍った。さっきまでの明るいテンションが急に消えたのに疑問を感じ顔だけ横を見やる。すると不安そうな顔が目に入る。


「…じゃあ、神無を好きになったりは…」


「するわけないだろう。お前でないと…と言っているのに神無を好きになってどうするんだ。俺は前からお前しか好きだと思ったことはない。」


なんだそんなことか、と言うような表情でさらりと言ってのける。すると悠祐の表情が輝き始めた。


「…もう一回言って?」


「何を。」


「俺は前からお前しか、何?」


期待の表情が常に向けられている。恭祐は自分の言ったことに恥ずかしさなどなく思ったことを素直に言っただけに、自分の言ったことを脳内から掘り出すのに苦労した。


「お前しか…好きだと思ったことはない…?」


「恭ちゃーん!」


「ぉわっ!何だ!悠祐!…おいって!」


悠祐は今まで一回の一度きりも言ってくれなかった言葉に感激し飛びついた。その行動に反応し受け止めようと動いた恭祐の身体をギュッと手の中に収める。この時恭祐は、“好き”という言葉が悠祐の不安を唯一消せるものだと思った。だが言うとこう返って来るのだから、自分のためによそうとも思っていた。そして悠祐は少しずつ戻りながらいつもの明るい声で静かに述べ始めた。


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