双子×双子
「俺さ、最近思ってたんだ。恭ちゃんから俺を求めた事って一度もないな〜って。俺ばっか急かって無理矢理してたから嫌われてるのかと思ってた。恭ちゃんから“しよう”なんて言うはずないって分かってたからさ。んで、恭ちゃんが止めるか何かしてくれるかな〜って思って水無に近づいたんだ。でも効果なくってダメかと思ってた。でもさ、神無から止めようとしてたって聞いて安心した。俺まだ恭ちゃんに嫌われてないんだって。それでさっき好きだって言われてもっともっと好きになった…。」


恭祐も元のうつ伏せに戻り悠祐の話を静かに聞いていた。一言も何も口にせずただ顔だけは左にいる声のする方へ向けていた。悠祐の言葉を聞いてから目の前の壁に視線を移し真意を話し始めた。


「俺はお前がただやりたいだけだと思っていた。好きという感情を持たず。」


「ひどっ!」


言われると思ってもなかった一言にショックを受け悲しい目で右にいる相手を見る。静かな声は続けた。


「だから段々、俺だけがお前を好きでいるのではないかと不安だった。お前は誰とでも親しいからな。だから俺なんかに飽きて、他のやつの所にすぐに行ってしまうのではないかと思っていた。今日水無と手を繋いでいたお前を見たとき、予期していたことが起こったのだと悟った。その瞬間そんな自分が恥ずかしかった。なぜこんなにもこいつを追っているのか、なぜこんなにも思っているのか…不思議でならなかった。だがそれは好きだという気持ちが自分をそうさせていたのだと今更ながらに気づいた。」


段々と暖かい口調へ変わっていくのを悠祐は聞いた。やっと恭ちゃんと分かり合えたと微かな笑みを浮かべている。


「恭ちゃん…。俺恭ちゃんと双子で、兄弟でよかった。俺こんなに幸せだと思った事ないよ。」


「あぁ。俺もこれほど心が満たされた日はない。」


「好きだよ。」
「好きだ。」


2つの声が綺麗に重なる。


「「ぷっ…」」


2人は仄かな笑顔と暖かい雰囲気に包まれていた。


その後、2時間程の睡眠を取った後、久々の分け隔てのない会話と共に学校へ行った────


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