夢のほとり~妖と華~
『そうですね…つむぎさんは犬黎と契りを交わしている。でも数の制限など私は言ってないと思いますが?』
確かに…
一人だけとは言われていない。
『どれだけの数の妖しと契りを交わすかは主のお心次第。ですから、今、鈴皇と毬尾と契りを交わしても問題ありません。』
「そうなんですか…」
『だけど私は嫌ですよ。こんな娘と契りなんて!』
『…何が嫌なの!?毬尾はさぁ?』
鈴皇が聞くと毬尾は私を指差し…
『…そもそも、顔の半分を覆う前髪。人間というより悪霊にしか見えません。』
悪霊って…失礼だな毬尾。これが犬黎なら言い返してるのに…
毬尾はちょっと、人を寄せ付けない感じがして…
私は言い返えせず、俯いた。
『…ふぅん。毬尾はあの前髪が嫌なんだ!なら妙案。つむぎを捕まえて!!』
「えっ?」
私が顔を上げると同時に、安斎さんは後ろから羽交い締めにした。
「ちょ…ちょっと安斎さん何するんですか!?」