夢のほとり~妖と華~
『これは、あなたの身を守るためでもあるんですよ』
「はぁ。」
妙案に押しきられた私は、鈴皇と毬尾とも契りを交わした。
良かったのかな…これで。
なんて、後悔しても遅いけど。
私の身を守るためって…
なんで!?
疑問を残しつつ、私はお寺の外へ出た。
空は青くて、真っ白な雲が緩やかに流れていた。
お母さんたち、心配してるだろうな…
何週間も連絡しないで、家を出てたら…
そんな事を思うと、少し目に涙が滲んだ。
『お前、泣いてんのか!?』
空を眺めながら、物思いに更けていると。
いつの間にか戻ってきていた犬黎が隣にチョコンと座っていた。
『………心配しなくても大丈夫だ』
ボソリと小さな声で犬黎が言った。
「えっ?何か言った?」
犬黎の声が小さくて聞き取れなかった。