3人の王子とあたし
「もう、二人とも止めて」
最初は、あたしも優しく言ったよ?
だって、この二人に怒りたくなかったから。
だけど、この二人。
なかなか手強くて…。
「うるせぇ、萌愛!!少し待っとけ!!」
「萌愛ちゃん、ちょっと黙って」
この二人だけはっ!!
止めてって言ってるのが分からないかなぁ。
「もう、やめて」
あたしの声を二人は無視。
「このガリ勉やろ、今日こそボコす!!」
「君に少し言葉というものを教えてやろう」
あたしを無視してケンカ。
「いい加減にして」
あたしの低い声すらも無視。
裕ちゃん、空大くん。
"仏の顔も三度まで"だよ?
あたし、もう怒るよ?
「裕ちゃんも、空大くんも嫌い!!大嫌い!!勝手にケンカしちゃえばいいんだ!!止めてって言ってるのに!!」
それだけ言ってあたしは、教室を飛び出した。
何で、ケンカするのよ…。馬鹿。
普段、二人とも優しいじゃない。
何で、あたしが居たらケンカするのよ…。
やっぱり、あたしがダメな子なの?
そう思うと、瞳が潤んできた。