3人の王子とあたし





何で、あたしが居たらダメになるんだろう。


こんな時、あたしは必ずある場所に行く。

今日も、その場所へ足を向けていた。


曲がり角を曲がろうとしたら―…。


ドンッ


「あ、いたたたた…」

嫌だ、ぶつかってこけちゃった。

ん?ぶつかって?

慌てて目の前を見る。


「きゃー!!?大丈夫ですか?!すみません!!」

案の定、あたしの目の前の人も倒れていた。

「…………」

何もしゃべらない。

もしかして、どこか怪我をさせてしまったのかも。

そう思うと、あたしは青ざめていった。


……にしても、こんな時に不謹慎かな。

この人、すごくカッコいい。

すらっと整った顔立ちに、長く伸びる手足。

それに、綺麗な金色の髪。

―――カッコいい。

たぶん、普通に芸能人と名乗ってもおかしくない。


しばらく、金髪の彼を見つめていた。

でも、沈黙は長く続くと痛い。


話かけようと、声をあげたときだった。


『「あの・なぁ」』




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