キリと悪魔の千年回廊 (りお様/イラスト)
「うん」
と、キリは何一つ悪びれたところのない笑顔でうなずいた。
「だって厳密に言うと、ロキを召還したのはわたしじゃないんだもん」
「なに?」
ジークフリートは、表情のない石膏像の顔のまま目だけ見開いて、こわれた人形のように首をかしげた。
ただ驚きをあらわにしただけだったが、ラグナードたち地上の人間にとっては不気味すぎる仕草だった。
「どういうことだ?
まさか召還した者でもない人間との契約に、悪魔が応じたというのか」
「うーん……ちょっと説明するのが難しいんだけど」
キリは困ったように、ほっぺたをかいた。
「ええっと、ロキを召還した十年前のことを話すと──」
「十年前!?」
ラグナードとジークフリートは同時に声を上げた。
「十年前って……おまえ、何歳だ?」
「そりゃ、七歳だよ」
「子供じゃないか!」
「かような齢の者との契約に、悪魔が応じたというのかッ!?」
口々に言うラグナードとジークフリートに、
「だから、説明するのが難しいんだけど……十年前のことを話すと──」
と、キリはのんびり頭上のゴンドワナの大陸を見上げて、
「そのころ、わたしはシムノンのクソジジイの操り人形だったの」
面白くなさそうに、ふうっとため息をついてから、話し始めた。
と、キリは何一つ悪びれたところのない笑顔でうなずいた。
「だって厳密に言うと、ロキを召還したのはわたしじゃないんだもん」
「なに?」
ジークフリートは、表情のない石膏像の顔のまま目だけ見開いて、こわれた人形のように首をかしげた。
ただ驚きをあらわにしただけだったが、ラグナードたち地上の人間にとっては不気味すぎる仕草だった。
「どういうことだ?
まさか召還した者でもない人間との契約に、悪魔が応じたというのか」
「うーん……ちょっと説明するのが難しいんだけど」
キリは困ったように、ほっぺたをかいた。
「ええっと、ロキを召還した十年前のことを話すと──」
「十年前!?」
ラグナードとジークフリートは同時に声を上げた。
「十年前って……おまえ、何歳だ?」
「そりゃ、七歳だよ」
「子供じゃないか!」
「かような齢の者との契約に、悪魔が応じたというのかッ!?」
口々に言うラグナードとジークフリートに、
「だから、説明するのが難しいんだけど……十年前のことを話すと──」
と、キリはのんびり頭上のゴンドワナの大陸を見上げて、
「そのころ、わたしはシムノンのクソジジイの操り人形だったの」
面白くなさそうに、ふうっとため息をついてから、話し始めた。