キリと悪魔の千年回廊 (りお様/イラスト)
彼女から放たれた言葉を何度も頭の中で咀嚼して、
「なに?」
ラグナードは声を上げた。
「だって、あいつはわたしを利用してただけだもん」
キリは口をとがらせた。
「だいたい、シムノンのジジイの属性は霧じゃない」
魔法使いにはそれぞれ、相性のいい属性というものがある。
たとえば水と相性がいい者は水の魔法、
風と相性がいい者は風の魔法、
植物と相性が良ければ植物の魔法に秀でた魔法使いになる。
魔法というものは、自分と相性のいい属性以外の分野では、どんなに努力しても強力な魔法を使うことは難しい。
相性のいい属性はそれぞれ個人によって異なり、一人の人間が持つ属性は一つしかないため、自分と相性のいい何かを見つけることができなければ、その魔法使いは一生強い魔法を使えないままということになる。
「霧の属性を持ってたのはわたしだけ。
極悪なシムノンはわたしに目をつけて、弟子にしてやるとか言って魔法は全然教えずに、他人を操る魔法を使ってわたしのことをずっと操り人形にして、わたしを通して魔法を使って有名になったの」
忌々しそうにキリは顔をしかめた。
師匠にしてはシムノンに対する敬意が感じられなかったのは、そういう理由だったらしい。
「つまり、本当の霧の魔法使いはシムノンではなく──キリ、お前だということか?」
「そう」
大きく見開かれたラグナードの双眸に向かって、キリは首肯した。
「ならば、お前が現在ニーベルングで最強の魔法使いということだな?」
期待のにじんだ視線を注がれて、キリは「うーん」とうなった。
「そこが二つ目の間違い」
「……なんだと?」
「攻撃力だけで言うなら、炎や光、雷の魔法使いのほうが強いよ」
ラグナードがぽかんとなる。
「現在最強と言われてる魔法使いは間違いなく、雷光を操る【紫電のル・ルー】だよ」
キリは断言した。
「他にも光の魔法使いと言われてる【月白のミレイ】とか、火炎使いの【青星のアルシャラ】とか……怪物退治ならこういう有名な強い魔法使いに頼めばいいじゃん」
それらの名前がキリの口に上った瞬間、
ラグナードは苦虫をかみつぶしたような顔をした。
「お前が今口にしたのはすべて、エスメラルダの魔法使いだ……!」
「なに?」
ラグナードは声を上げた。
「だって、あいつはわたしを利用してただけだもん」
キリは口をとがらせた。
「だいたい、シムノンのジジイの属性は霧じゃない」
魔法使いにはそれぞれ、相性のいい属性というものがある。
たとえば水と相性がいい者は水の魔法、
風と相性がいい者は風の魔法、
植物と相性が良ければ植物の魔法に秀でた魔法使いになる。
魔法というものは、自分と相性のいい属性以外の分野では、どんなに努力しても強力な魔法を使うことは難しい。
相性のいい属性はそれぞれ個人によって異なり、一人の人間が持つ属性は一つしかないため、自分と相性のいい何かを見つけることができなければ、その魔法使いは一生強い魔法を使えないままということになる。
「霧の属性を持ってたのはわたしだけ。
極悪なシムノンはわたしに目をつけて、弟子にしてやるとか言って魔法は全然教えずに、他人を操る魔法を使ってわたしのことをずっと操り人形にして、わたしを通して魔法を使って有名になったの」
忌々しそうにキリは顔をしかめた。
師匠にしてはシムノンに対する敬意が感じられなかったのは、そういう理由だったらしい。
「つまり、本当の霧の魔法使いはシムノンではなく──キリ、お前だということか?」
「そう」
大きく見開かれたラグナードの双眸に向かって、キリは首肯した。
「ならば、お前が現在ニーベルングで最強の魔法使いということだな?」
期待のにじんだ視線を注がれて、キリは「うーん」とうなった。
「そこが二つ目の間違い」
「……なんだと?」
「攻撃力だけで言うなら、炎や光、雷の魔法使いのほうが強いよ」
ラグナードがぽかんとなる。
「現在最強と言われてる魔法使いは間違いなく、雷光を操る【紫電のル・ルー】だよ」
キリは断言した。
「他にも光の魔法使いと言われてる【月白のミレイ】とか、火炎使いの【青星のアルシャラ】とか……怪物退治ならこういう有名な強い魔法使いに頼めばいいじゃん」
それらの名前がキリの口に上った瞬間、
ラグナードは苦虫をかみつぶしたような顔をした。
「お前が今口にしたのはすべて、エスメラルダの魔法使いだ……!」