キリと悪魔の千年回廊 (りお様/イラスト)
「ラグナードは、エスメラルダの魔法使いを一人でも知ってるの?」
「知るわけがない」
「なのに『何をしでかすかわからない』なんてよく言えるねえ」
「それが通説だからな」
すました顔で言って肩をすくめるラグナードに、キリはわかってもらおうと説明を試みた。
温めた卵ドリンクを、ごくごくと一気にのどの奥へと流し込んで、コン、とカップをテーブルに置く。
甘ったるい液体を一気に飲み干したキリを見て、向かいでラグナードが頬を引きつらせたのには気づかなかった。
「そりゃ、シムノンのクソジジイみたいな嫌なやつもいるけどさ、エスメラルダの魔法使いにも、優しい人はいるよ?
たとえば青星のアルシャラとか……頼めばきっと助けてくれるよ」
ラグナードは驚いたように目を見開いた。
「彼と知り合いなのか?」
ラグナードが迷わず「彼」という言葉を使ったのを聞いて、キリは首を傾けた。
「どうしてアルシャラが男だと?」
不思議そうに問い返されて、ラグナードは言葉に詰まった。
世界で三本の指に入る有名な強い魔法使いということで、何となく男を連想していただけだったのだが……
「まさか、青星のアルシャラというのは女か……?」
興味を動かされて尋ねると、
「んーん、男の人だったよ」
という答えがあっさり返ってきて、彼はがくっと脱力した。
「少し前に、わたしを訪ねてきたの」
「アルシャラがここに来たのか?」
「うん。わたしのことを殺しにきたって言ってた」
一瞬、
自分の聞き間違いかと思って、ラグナードは耳を疑った。
キリはにこにこしながら平然と、
「自分が強くなるために世界中の魔法使いを殺して旅してるんだって。
初対面で問答無用で炎の魔法で攻撃してきて、わたし焼き殺されそうになっちゃった。
でもね、とっても優しそうな人だったよ」
「どこが優しそうな人なんだ!?」
彼は全力でツッコミを入れた。
「知るわけがない」
「なのに『何をしでかすかわからない』なんてよく言えるねえ」
「それが通説だからな」
すました顔で言って肩をすくめるラグナードに、キリはわかってもらおうと説明を試みた。
温めた卵ドリンクを、ごくごくと一気にのどの奥へと流し込んで、コン、とカップをテーブルに置く。
甘ったるい液体を一気に飲み干したキリを見て、向かいでラグナードが頬を引きつらせたのには気づかなかった。
「そりゃ、シムノンのクソジジイみたいな嫌なやつもいるけどさ、エスメラルダの魔法使いにも、優しい人はいるよ?
たとえば青星のアルシャラとか……頼めばきっと助けてくれるよ」
ラグナードは驚いたように目を見開いた。
「彼と知り合いなのか?」
ラグナードが迷わず「彼」という言葉を使ったのを聞いて、キリは首を傾けた。
「どうしてアルシャラが男だと?」
不思議そうに問い返されて、ラグナードは言葉に詰まった。
世界で三本の指に入る有名な強い魔法使いということで、何となく男を連想していただけだったのだが……
「まさか、青星のアルシャラというのは女か……?」
興味を動かされて尋ねると、
「んーん、男の人だったよ」
という答えがあっさり返ってきて、彼はがくっと脱力した。
「少し前に、わたしを訪ねてきたの」
「アルシャラがここに来たのか?」
「うん。わたしのことを殺しにきたって言ってた」
一瞬、
自分の聞き間違いかと思って、ラグナードは耳を疑った。
キリはにこにこしながら平然と、
「自分が強くなるために世界中の魔法使いを殺して旅してるんだって。
初対面で問答無用で炎の魔法で攻撃してきて、わたし焼き殺されそうになっちゃった。
でもね、とっても優しそうな人だったよ」
「どこが優しそうな人なんだ!?」
彼は全力でツッコミを入れた。