キリと悪魔の千年回廊 (りお様/イラスト)
たとえほんのひとときでも、こんな田舎娘の行動に狼狽(ろうばい)させられた屈辱が、彼の高慢な自尊心に復讐の火をともした。
獣が舌なめずりするように、美しい若者は危険な嗜虐(しぎゃく)の色がひそんだ紫色の瞳を細めた。
絹で織られた上等な自らの服の襟に片手を持って行き、ボタンを外して首元をゆるめつつ、
素知らぬ風を装って、
「意外に積極的なんだな」
と、かたわらで幸せそうにすやすやと眠りにつこうとしている愚かな娘の耳元でささやく。
「まあ、そっちがその気なら、たっぷりかわいがってやる」
「はにゃ?」
寝ぼけた声を出す少女の体をいとも簡単に自らの下に組み敷き、
何が起きたのか理解できずに眠たげに大きな目を瞬くその無垢な表情を、ラグナードはピンクの髪が広がったシーツの上に手をついて見下ろした。
品定めするように、彼の片手がゆっくりとキリの白い頬をなでた。
「ふん、顔は悪くない」
変な女だが、黙っていれば間違いなく美少女の部類だろう、とラグナードは満足する。
まだ状況が飲み込めていないのか、かわいい顔はくすぐったそうにくすくすと笑った。
頬から手を離し、
ラグナードは少女の両手をつかんで、顔の横のシーツに体重をかけて押さえつけた。
女のように整った顔に、どこか妖艶さの漂う微笑をたたえて
「湯浴み代わりに、体を温めてもらおうか」
言うなり、彼は細い首筋に口づける。
男にこんな行為をされたのは初めてなのだろう。
少女の甘い香りを楽しみながら舌を這わせると、
ようやく眠気が吹き飛んだのか、びくんとキリの体がはねた。
「みゃっ!? ……なにする……んっ」
驚いた猫さながらにかわいい声を出すキリのあごに手をかけて
ムリヤリ自分の方を向かせ、ラグナードは柔らかな唇を唇でふさいだ。
乱暴な口づけから、徐々に優しく甘いキスを交わして、
「なんだ? 今さら怖じ気づいたのか?」
しばしの後に唇を解放して、
ラグナードは吐息を漏らすキリを見下ろし、甘い声音で言って優しくほほえむ。
彼の体の下で、キリは必死になってのがれようともがいた。
ラグナードは一見虚弱そうな──女性的な外見と、すらりとした細身の体躯(たいく)からは想像できないような、まぎれもない男の力でキリをベッドの上に押さえつけていた。
温室育ちの見た目にも関わらず、
信じがたいことに、彼女の上にのしかかっている青年の体は鍛えあげられた鋼を思わせる引きしまった筋肉の感触を返してきて、少女の力でどんなに押そうが暴れようがびくともしない。
「かわいいな。残念だが、腕力では俺に勝てないぞ」
無駄な抵抗を試みるキリを楽しそうにながめてくすりと笑い、再びラグナードは少女の唇に甘い口づけを落とした。
獣が舌なめずりするように、美しい若者は危険な嗜虐(しぎゃく)の色がひそんだ紫色の瞳を細めた。
絹で織られた上等な自らの服の襟に片手を持って行き、ボタンを外して首元をゆるめつつ、
素知らぬ風を装って、
「意外に積極的なんだな」
と、かたわらで幸せそうにすやすやと眠りにつこうとしている愚かな娘の耳元でささやく。
「まあ、そっちがその気なら、たっぷりかわいがってやる」
「はにゃ?」
寝ぼけた声を出す少女の体をいとも簡単に自らの下に組み敷き、
何が起きたのか理解できずに眠たげに大きな目を瞬くその無垢な表情を、ラグナードはピンクの髪が広がったシーツの上に手をついて見下ろした。
品定めするように、彼の片手がゆっくりとキリの白い頬をなでた。
「ふん、顔は悪くない」
変な女だが、黙っていれば間違いなく美少女の部類だろう、とラグナードは満足する。
まだ状況が飲み込めていないのか、かわいい顔はくすぐったそうにくすくすと笑った。
頬から手を離し、
ラグナードは少女の両手をつかんで、顔の横のシーツに体重をかけて押さえつけた。
女のように整った顔に、どこか妖艶さの漂う微笑をたたえて
「湯浴み代わりに、体を温めてもらおうか」
言うなり、彼は細い首筋に口づける。
男にこんな行為をされたのは初めてなのだろう。
少女の甘い香りを楽しみながら舌を這わせると、
ようやく眠気が吹き飛んだのか、びくんとキリの体がはねた。
「みゃっ!? ……なにする……んっ」
驚いた猫さながらにかわいい声を出すキリのあごに手をかけて
ムリヤリ自分の方を向かせ、ラグナードは柔らかな唇を唇でふさいだ。
乱暴な口づけから、徐々に優しく甘いキスを交わして、
「なんだ? 今さら怖じ気づいたのか?」
しばしの後に唇を解放して、
ラグナードは吐息を漏らすキリを見下ろし、甘い声音で言って優しくほほえむ。
彼の体の下で、キリは必死になってのがれようともがいた。
ラグナードは一見虚弱そうな──女性的な外見と、すらりとした細身の体躯(たいく)からは想像できないような、まぎれもない男の力でキリをベッドの上に押さえつけていた。
温室育ちの見た目にも関わらず、
信じがたいことに、彼女の上にのしかかっている青年の体は鍛えあげられた鋼を思わせる引きしまった筋肉の感触を返してきて、少女の力でどんなに押そうが暴れようがびくともしない。
「かわいいな。残念だが、腕力では俺に勝てないぞ」
無駄な抵抗を試みるキリを楽しそうにながめてくすりと笑い、再びラグナードは少女の唇に甘い口づけを落とした。