先生へ -君に詠む愛の歌-
*****佳央視点*****

「藤里さんにはケガはないんです。
 壬生先生が下敷きになって
 藤里さんをかばってたので・・・。
 ただ・・・
 ずっと泣き叫んでました。

 『ごめんなさい!』

 『ごめんなさい!』

 って、何度も何度も。
 私が最初にかけつけたときには
 壬生先生が自分のせいで
 こうなったことへの謝罪だと
 思ってました。
 けど、違ったんです・・・。」


南ちゃんも私もただただ

じっと伊波先生の話しを聞く。


「もう私やまわりの声なんて
 藤里さんには届いていなかった。
 救急車がきて、
 壬生先生を搬送するとき、
 私は救急隊員の方に
 事情を説明して、彼女も
 一緒に乗せました。
 彼女にも病院が必要だと
 感じたからです。
 壬生先生の手を離そうとせず
 ずっと泣きながら
 謝り続けていました。
 
 病院について
 壬生先生の手から
 手を離したとき
 彼女は
 
 『好きになって
  ごめんなさい』

 そう言って

 倒れてしまったんです。
 
 そしてさっき目を
 覚ましたんですが・・・
 
 記憶が・・・
 
 記憶がないようです。」



ガバっと私は立ち上がり


いてもたってもいられず


さっき伊波先生と会った


病室の前に走った。



 
 
 
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