先生へ -君に詠む愛の歌-
*****佳央視点*****

【藤里 柚那】


部屋の名前プレートには

先ほどあわてて書かれた

かのような走り書きで

書かれていた。



病室のドアをあけた。


柚那はベットの上で


上半身を起こした状態で


窓の外を見ていた。


そしてゆっくりと


こっちに振り向いた。


私は駆け寄った。




「柚那?!柚那!!
 私!わかる??!
 佳央だよ?!
 ねぇ!柚那ぁー!!」


柚那の手をにぎって

私は泣き崩れてしまった。




柚那からはなんの返事もない。



伊波先生が

あわてて病室に入ってきて

私を支えながら病室を出た。
< 119 / 337 >

この作品をシェア

pagetop