先生へ -君に詠む愛の歌-
*****佳央視点*****

どれくらい時間が

たったのだろう。


思考回路が戻った後も

しばらく言葉も発せず

放心状態だった。


気が付けば私は


ソファに座っていて


ずっと横に伊波先生が


付き添ってくれていた。


いつの間にか柚那のママも


きていて、南ちゃんと


話をしている。


「伊波先生・・・。」


「ん?大丈夫??」


「はい・・・。」


「これから、君が一番
 藤里さんを支えて
 あげれる人になると思う。
 お願いできるかな?」

「はい。」


「けど、1人で抱え込まないで。
 辛くなったり、
 苦しくなったりしたら
 必ず私に相談して欲しい。
 約束してくれるかな?」


「・・・はい。」


「うん。それじゃあ
 うちまで送っていくよ。
 南先生!ちょっと
 彼女を送ってきます。」


少し離れた位置で柚那のママと

話していた南ちゃんは

「お願いします。」

そう言ってまた柚那のママとの

話しはじめた。


「1人で帰れます。」


そう伊波先生に言ったけれど


「ダメ。」


って言われちゃった。


救急車できたからって


タクシーに乗って


私の家まで送ってくれた。


私の家に着いて


降りてから


お礼を言ったら


「いまさらなんだけど
 名前教えてもらっていい??」


って、ちょっと

テレながら言われた。



少し笑ってしまった。




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