先生へ -君に詠む愛の歌-
*****佳央視点*****

しばらくして

壬生先生が私に言った。


「俺は・・・
 もう一度柚那に告白するよ。」


「え?もう一度??」


「あぁ・・・。」


「・・・・。」


「聞いてなかったか?」


「・・・・はい。」


思わず顔にでて落ち込んでしまった。


柚那から告白されたなんて聞いてない・・・。


「きっと必死に抑えてたんだと思う
 自分の気持ちを。
 だから言えなかったんだろう。
 言ってしまえば自分の気持ちが
 止められなくなると思ったんじゃ
 ないかな。言葉は力がある。
 『言霊(ことだま)』って
 聞いたことあるだろ?
 言葉にしてしまえば認めてしまうと
 そう思ったんじゃないかな。
 『誰も好きにはならない』って
 ずっと誓ってのならなおさら。
 それに・・・」


「・・・それに?」


壬生先生はちょっとテレたように


話しだした。


「俺の告白はちょっと・・・
 その・・・なんていうか・・・」


「なんですか?」


「わかりにくかったかも・・・。」


「告白でわかりにくい??」


「・・・・////」


先生はテレて告白のことは

それ以上話してくれなかった。



けど、この事故が起きる前に


付き合うとかそういうことでは


ないけれど、柚那も先生のことを


想ってるくれていると知ったと


話してくれた。


そして先生は自分が退院したら


柚那にもう一度告白すると言った。


記憶がないから振られてしまうかも


しれないけれど、もう自分の気持ちに


ウソつけないって・・・。



そう静かに語った先生は


とてもかっこいいって


私は思ったよ。


*****佳央視点終了*****


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