先生へ -君に詠む愛の歌-
「悪いな~藤里!
 入学式早々呼び出して!」

ガハガハとオジサン丸出しで

笑ってる。

「いえ・・・。」

愛想笑いをしながら返事をした。


「悪いついでにお願い
 したいことがあってな~」

「はい・・・。」

「実はな~ココに中学の時の
 資料があってな~
 藤里は中学1~2年まで
 学級委員やってるよなぁ?」

「はい。やってましたけど・・・。」

そう、誰もやりたがらない
学級委員を投票で決めたら
私になった。
けど、みんな3年になると
委員会をやってたほうが合格に
有利だとかそんなことばっかり
気にし始めて3年は他の子が
立候補してすんなり決まった。
1~2年の時では見られない光景。

「でだ、明日学級の委員を
 決めるんだが・・・
 一応、立候補にしようと
 思ってるんだが、毎年学級委員は
 なかなか決まらないんだよ。」

「はい・・・。」

「だから、もしもだ!
 もしも学級委員に立候補がなくて
 どうしても決まらなかったらで
 いいから、やってくれないか?」

「・・・・わかりました。」

オジサンが目をうるうるさせて

すがってくるもんだから

承諾してしまった。

まぁ正直、委員長みたいな

やりがいある仕事嫌いじゃないし

特に他にやりたいこともない。

ただ立候補までして

やりたいとは思わないけど・・・。

出しゃばりたくはないし。

「おぉ!ありがとう!!
 じゃあ帰っていいから!
 気をつけて帰れよ!」

現金なオジサンだ・・・。

「じゃあ帰ります。
 失礼します。」

軽く一礼して職員室の出口に向かう。
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