先生へ -君に詠む愛の歌-
図書室には誰もいなくて

私と久世先輩と2人きり。

「あのね、柚那ちゃん。」

「はい。」

「・・・本当は
 今の柚那ちゃんに
 こんなこと言うのは
 よくないんだけど・・・。」


久世先輩は切なそうにうつむき

ながら話している。

「なんですか??」





「柚那ちゃんが記憶がなくなる
 前に、柚那ちゃんから
 俺、告白されてたんだ・・・。」





「え?!」


私が・・・告白・・・


久世先輩に・・・



「おどろいた?そりゃ驚くよね。
 返事はまだすぐに聞く勇気が
 ないって言ったから、
 まだ返事はしてなかったんだけど。
 けど、俺も柚那ちゃんが
 好きだから、今の柚那ちゃんを
 守りたいって思うんだ。
 もちろんこれからだって・・・。
 記憶がないから負担かけ
 ないようにって、我慢してたけど
 もう耐えられそうにないんだ。
 ゆっくりでいいから
 俺のこと考えてもらえないかな。
 必ず大切にするから。」


「わ、私・・・。」


「返事は急がないから。
 じゃあ俺いくね!」

そう言って久世先輩は

図書室から出ていった。


思わず私はその場に座り込む。




私は・・・壬生先生が



好きだったんじゃないの??




私は何をしようとしていたの??




私は・・・・


私は・・・・


目の前が真っ白に変わっていく・・・





壬生・・・先生・・・




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