先生へ -君に詠む愛の歌-
「だから私は久世君を諦めたの。
 それなのに・・・
 記憶がなくなったからって
 久世君から離れていこうと
 している貴方が許せない・・・。
 彼をなんだと思ってるの?
 彼の腕だけでは足りず
 心にまで傷を残すつもり?
 そんなの・・・私許せない。
 だから・・・貴方に
 言っておきたかったの。」



「・・・・。
 ありがとうございました。」



「え?!」



「過去の失恋のこと
 先輩もツライのに
 話してくださって
 ありがとうございました。
 よく考えたいと思います。」


頭で考えたわけではないのだけれど


勝手に言葉がスラスラ出てきて


気がつけば先輩に深々と頭を下げていた。


先輩は何も言わず走っていってしまった。



しばらく放心状態で立ち尽くし


自然と携帯の発信ボタンを押していた。




「もしもし。
 ・・・うん。
 あの・・今から・・・」
 
< 173 / 337 >

この作品をシェア

pagetop