先生へ -君に詠む愛の歌-
*****壬生先生視点*****

「おまたせ。
 で、何かな?」


「私・・・
 見たの。」


「何を?」


「壬生先生が藤里さんを
 抱きしめてるところ。」
 

「で?」


「・・・誰にも言われたく
 なかったら、私と
 付き合ってよ!」

「イヤだといえば
 学校にバラして
 俺も藤里も学校を
 辞めさせられるか。

 で、わかったと言えば
 俺が君と付き合って
 俺も藤里も学校に
 残れるってことか。」


「そういうこと。」


「で、次に俺と君が
 他の人にバレたら
 どうするんだ?
 そうか、俺はまた次のやつと
 付き合って君を振れば
 いいんだな。
 そうすれば俺も君も
 学校に残れる。」


「私はもうすぐ卒業だし
 大丈夫だよ!
 それに私はそんなヘマしない!!」


「なぁ・・・
 そこに愛はあるのか?
 愛してもくれない男と
 一緒にいることが
 本当に幸せだと思ってるのか?」


「私は・・・
 私は先生がそばに
 いればそれでいい!」


「・・・つまらない女だな。」



彼女は目に涙を浮かべ


その場から逃げ去ろうとした。
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