先生へ -君に詠む愛の歌-
*****壬生先生視点*****

一瞬、柚那の顔が浮かぶ。

人の気持ちにまっすぐに

向き合う柚那・・・。


とっさに彼女の手首をつかんだ。


「離して!」


「・・・・すまない。
 ・・・こんなことが
 言いたかったんじゃない・・・」



「?!」



「俺、教師やめてもいい。
 教師失格の発言だけど
 柚那が退学になってもいい。
 俺が柚那を守っていくつもりだ。
 だから君の気持ちには
 答えられない。
 ごめん。」


彼女の手首を離し、

彼女に頭を下げた。


そして彼女の顔を見て言った。


「・・・ありがとう。
 俺なんかを好きになってくれて
 ありがとうな。」


「・・・どうして?
 どうして、あんたたちは
 『ありがとう』って
 頭を下げるの?!
 私ヒドイことばかりしてる!
 そんなの自分でも分かってる!
 殴ったり、罵ったりすれば
 いいのに!!
 どうして藤里さんも
 自分が傷つけられてることより
 相手の心の傷のことを
 おもいやって頭をさげれるの?!
 わかんない!わかんないよ!!」


そう彼女は一気に話して

泣きながらその場から逃げるように出ていった。



*****壬生先生視点終了*****
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