先生へ -君に詠む愛の歌-
*****壬生先生視点*****

久世が生徒会室にやってきた。


柚那目当てに毎日のように


きている。


「久世、ちょっといいか?」


「何?美輪ちゃん。」


「こっち。」


準備室に久世を呼び出した。


「久世、鬼頭から
 全部聞いたよ。」


「・・・・。
 気づくの遅いよ壬生先生。」


久世は不敵な笑みを浮かべる。


「違うよ久世。
 気づかなかったんじゃなくて
 眼中になかったんだよ。
 俺と戦える相手として
 認識してなかったんだ。
 悪かったな久世。」



お前は俺を相手できるほどではないと


お前が俺に勝てるはずもないと


お前は存在すら認められていないのだと


俺はそれ以上、言葉にはしなかった。


「・・・・。」


「ぶざまな戦い方だけはするな。」


「ずっと・・・
 ずっと好きだったんだ・・・。
 少しぐらいイジメたくもなるさ・・。
 柚那ちゃんは壬生先生しか
 見ていないから、だから・・・。」


「人を好きになるのはつらいな。
 想いが届かないのはもっとつらい。
 そして忘れることも自分を
 とても傷つけるよな・・・。」


「・・・・。」


「大丈夫。
 俺は久世のいいとこ
 いっぱい知ってるから。
 俺は久世のこと好きだよ。」


「美輪ちゃんの愛なんて
 いらねぇよ(笑)」


「俺の愛はお高いんだぜ?(笑)」


「・・・俺、
 柚那ちゃんに謝ってくるよ。」


「あぁ。」



「柚那ちゃん手放す時は
 連絡してくれよな!(笑)」



「お前の連絡先知らないから
 安心しろ(笑)」



久世は俺に頭を下げて

準備室を出て行った。


*****壬生先生視点終了*****
 
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