先生へ -君に詠む愛の歌-
*****壬生先生視点*****

柚那を家まで送って

ソファに座り込んだ。


はぁ・・・。


柚那が俺を好きだと言った。


愛していると言った・・・。




俺は今・・・




柚那の記憶が



いつ戻るだろうと



考えるだけで



不安で不安で



たまらない。



俺のすべきことは

わかっているつもりだ。


記憶のない間に


どれだけのことを柚那にして


やれるだろうか・・・。


記憶が戻っても


俺がいれば大丈夫だと


そう思ってくれるほど


柚那を幸せにしなければ・・・。


柚那が俺を


好きになればなるほど


俺も柚那が


もっともっと好きになる。


そしてその分


柚那の記憶が戻ったときに


俺から離れていくかも


しれないという重圧が


さらに重くのしかかる。




もしも・・・


柚那の記憶が戻って


どうしても


俺の元を去るというのなら


後悔だけはしないように


俺は柚那にこれ以上


触れないでおこうと思う・・・



それが俺の愛し方だ。



ただ、抱きしめることと


額と手と左耳のピアスへ


のキスだけは許して欲しい。




俺には儀式のようなものだから・・・




俺は柚那だけを守り続けると


誓ってくちづけているのだから・・・




ふと、目線をツリーにやると


小さな黒い箱が白いリボンで

かけられている。


近づいてはずしてみると


中からは男のものリングが


出てきた。



柚那・・・


俺は静かに涙を流した・・・。


*****壬生先生視点終了*****
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