先生へ -君に詠む愛の歌-
*****壬生先生視点*****

「柚那のことを思って
 泣いた田元を見て
 キレイだと・・
 伊波の心を奪うほど
 友達のこと思って
 流した涙を信じてみても
 いいんじゃないか。」


「・・・。」


2人の間に沈黙が流れる。


テレビの音だけが部屋に響く。


「僕はいまだに
 先生から教えてもらって
 ばかりですね・・・。」


「そうか?」


「えぇ。
 タバコの話しも
 そうですよ。

 百害あって一利なし。
 部屋はヤニで汚れるし
 やめようと思っても
 なかなかやめれない。
 お金もかかる。
 そして、好きなやつに
 子供ができたら
 その子供にも影響がでる。
 かっこつけて
 タバコ吸ってるより
 吸わないって
 決めて貫けるほうが
 かっこいいじゃないかって。

 その話しを聞いて
 僕はカッコイイなって
 思っていたタバコへの
 興味はなくなってました。」


「そんなことも
 話したことあったかな。」


「えぇ。
 寿命の話しもそうでした。
 あの話しで僕は救われて
 今の仕事をしようと
 思いました。
 少しでも悩んでる
 僕のような生徒の力に
 なれればと思ったんです。」


「そうか。」

伊波はゆっくり俺の方を向いた。

俺も視線を伊波に移した。


「先生の言葉、
 また信じてみようと
 思います。」


「うまくいなかくても
 逆恨みするなよ?(笑)」


「その時は僕の恋人に
 なって下さいよ。」


「ヤだよ。」


「もうクリスマスも
 終わりです・・・。
 サンタではなく
 そろそろ着物の時期
 でしょうか。」


「ん?」



伊波は穏やかに微笑んでいた。


*****壬生先生視点終了*****
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