先生へ -君に詠む愛の歌-
「いいじゃん!
 一緒に泳ごうよ♪」


「イヤです!」


さっきからこの会話

何回したんだろう。


佳央が気づいて

男たちの後ろから

必死にバタ足で

泳いできて

くれてるんだけど

浮き輪で泳ぎながらだし

波の加減でなかなか

私に近づけなくて

もがいてた。


こんな状況なのに

少し笑いそうに

なってしまう。


すると私の後ろから

声がしたと同時に

抱きしめられた。


「お前らでは役不足だ。
 言ってる意味は
 わかるな?
 じゃあ去れ。」


男たちは何も言わずに

その場から去っていった。


「大丈夫か?」


「うん。」


先生が私を離して

浮き輪を回転させて

私と向き合うかたちに

なった。


「なぁ柚那。」


「ん?なに??」


「僕は死にましぇ~んって
 名ゼリフのある
 ドラマ知ってる??」


「? 知らない。」


「ぞっこんラブは死語?」


「うん。」


「金八は知ってる?」


「名前ぐらいは知ってるかな。」


「・・・
 塾へ行きなさい!塾へ!」


「そのモノマネは知ってる(笑)」


「今初めてすごく歳の差を
 感じたよ・・・。」


「んー・・・
 若い彼女でよかったね♪」


「うん♪僕うれしい♪♪」



ニッコリ笑ってはしゃぐ先生。


少し元気を取り戻して

くれたみたい。


よかった・・・
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