先生へ -君に詠む愛の歌-
「私がそれを臣君に
 見せてしまったの。
 その時は臣君が
 あそこまで追い込まれる
 なんて思ってもなくて・・」



佳央が涙を流しながら言った。


日記を読み終え、日記を閉じた。



「私が・・

 私の過去の決意が

 ずっと貴臣さんを

 苦しめてたんだね・・・

 ずっとずっと

 私の記憶が戻るたびに
 
 苦しんでたんだね・・・」



私の目からも涙が流れ落ちた。



「臣君には柚那が
 必要だよ!!
 だから絶対
 離れずにそばにいてあげて!
 その左耳のピアスだって
 臣君が柚那の運命が
 変わって欲しいって
 柚那のママに許可
 もらってまで
 つけてくれたんだよ!
 だから・・・お願い・・」



泣きながら必死に私に

しがみついてくる佳央。



「ありがとう佳央。
 本当にありがとう。
 もう大丈夫だよ。
 私にも貴臣さんが
 必要だもん・・・
 貴臣さんに
 私の運命あずけてみるよ・・・」



私はそっと左耳のピアスにふれた。



「柚那!」



しばらく私たちは抱きしめあったまま

2人で泣いた。
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