先生へ -君に詠む愛の歌-
「じゃあそろそろ
 行くよ。」


「うん・・・」


貴臣さんは

私の右手をとって

指輪にキスをした。

少し伏せられた

貴臣さんの目は

とてもかっこよかった。


「ポックルには
 気をつけろよ?」


「なんで僕なんですか。」


「バカ臣!
 さっさと行け(笑)
 柚那は私が
 守っとくから!」


「おう!
 まかせたぞ佳央!」


「柚那~
 私がバカ臣なんて
 忘れさせてあげるよぉ~♪」


そう言って

私に抱きつく佳央。


「おい!!」


「いいから早くいけ(笑)」


シッシと佳央が

手で追い払う。


名残惜しそうな目で

私たちを見ている貴臣さん・・・


「どうせ来月には
 また戻ってくるんでしょう。
 子供じゃないだから
 早く行きなさい。」


伊波先生が諭すように

貴臣さんに言った。


「うるさいポックル!
 じゃあ元気でな!」


そう言って手を振りながら

貴臣さんが背を向けて

歩きだした。



私は佳央に抱きしめられたまま


少しだけ泣いた。


佳央はずっと抱きしめて

いてくれた。
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