先生へ -君に詠む愛の歌-
入場のとき

ママと佳央の両親は

確認できたけど

貴臣さんの姿は

見えなかった。


間に合わなかったのかな・・


教員の席には

伊波先生。

スーツでとても

かっこいい。


またファンが

増えるんだろうな・・・

佳央も大変だね。


そんなことを

考えてるうちに

卒業式はどんどん

進んで行く。



出席番号の加減で

佳央が斜め前の

位置にいたから

おかげで少しだけ

ウルっときた程度で

卒業式を見て

いることができる。



佳央が横にいたら

号泣してたかも・・・




『卒業生退場。
 卒業生起立。』



号令とともに

立ち上がる。


向きをかえ

出口に向かって

歩きだす。




そして保護者席の一番後ろに

拍手をしてる貴臣さんをみつけた。



抑えていたものが

一気にあふれだして

涙が流れる。



私はなんとか笑顔を作って

貴臣さんの顔を見た。



貴臣さんはうなずいて

優しく微笑んで

ずっと力いっぱい

拍手をしてくれていた。





私は


今日


この学校を


卒業します・・・



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