先生へ -君に詠む愛の歌-
*****壬生先生視点*****

なるべく1年B組の近くを


重点的に見回る。


さっき柚那のクラスの前を通った。


まぁちょっと安心した。


柚那のまわりが


女の子だらけだったから。


メイドカフェの反対みたいなもんだから


女性が多いんだな。


ほんとよかった。


「壬生先生!」

振り返ると田元がいた。


「ん?おぉ!
 男前!どうした?(笑)」


からかって言ってみた。


「ははは!柚那人気あるんですよ~?」


ニヤって笑って俺を見てる。


なるほど。なかなか鋭いらしい。



「田元も充分人気あったじゃないか。
 さっき囲まれてたし。」


「あーちゃんとチェック
 してたんですねぇ?」



まだ田元はニヤニヤしたままだ。


「ちゃんと悪い虫がつかないように
 みといてくれよ?」


「んー・・・
 正直、私的には先生は合格だけど
 今はまだムリかもしれないですね。」



そう言った田元は

少しまじめな顔で悲しそうに言った。



「ん?どういうことだ??」


「想像以上に・・・」


2人で沈黙してしまった。

ん?向こうから柚那が

走ってきていた。


「後ろに柚那が・・・」


そう言いかけた時


「臣(おみ)ーーー!!」


って、柚那が叫びだした。


俺の学生時代からの呼び名。


思わずおどろいて


赤面してしまった。


「あーごめんごめん!
 今行くよー!」


なぜか田元が返事をした。



「今、源氏名が臣なんです♪
 あ、先生顔赤いですよ?」


またニヤっとする田元。


お前鋭すぎ・・・。


「その名にかけて
 ガンガン稼いでくるように!」


そう言って、咳払いをしながら

その場を立ち去った。



今朝といい、さっきといい



もう俺は


自分の気持ちが暴走するのを




抑えるだけで精一杯だ。



*****壬生先生視点終了*****

< 80 / 337 >

この作品をシェア

pagetop