先生へ -君に詠む愛の歌-
「壬生先生は
 いい先生だと思います。
 ・・・・・。」


言葉が続かなかった。


その後、

元カレがとか

好きな人がとか


いろいろ言ってた。


そのたびに私は


ちゃんと答えた。


元カレをひきずっている

わけではないこと。


好きな人はいないということ。


向こうの質問に正直に答えた。



「俺、諦めきれないだけど・・・。」



「私が言うのも
 変なんですけど・・・。


 人を好きになることは
 思ってる以上にせつなくて


 好きな人に告白することは
 思ってる以上に勇気がいる


 想いが届かなかった相手を
 想い続けることは
 相手をずっと苦しめることになる


 けど、想いが届かなかった相手を
 忘れなければならないことは
 相手を苦しめる以上に
 自分自身を傷つける。


 だから私はあなたとは
 付き合えないけれど
 私を好きになってくれたあなたに
 嘘いつわりなく
 まっすぐに向き合って
 あなたの想いに答えたつもりです。

 私を好きになっていただいて
 ありがとうございました。」



私は深々と頭を下げた。




彼はそれ以上何も言わずに


生徒会室を後にした。

 

 
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