先生へ -君に詠む愛の歌-
「あいかわらず
 あわただしいヤツだな(笑)」


吉岡先輩が笑う。


私もつられて笑う。


「そっかぁ。
 今日は誕生日かぁ。
 何かないかな。」

そう言ってカバンの中を

さぐりはじめる吉岡先輩。


「いえ!そんないいですよ!!」


あわてて言った。


「あ、これよかったら。
 お誕生日おめでとう。」

そう言って

1本のペンを差し出してきた。


ジェルインクのペンで

色がブルーグレーって書いてある。


「ありがとうございます。
 なんかめずらしい色ですね。」


「そうなんだよ。黒くもなく
 青くもなく、落ち着いた青っぽい
 グレーで気に入って使ってるペン
 なんだ。少し使ってるけどごめんね。」

「いえいえ!うれしいです。
 ありがとうございます。
 大切にします。」


ガチャ。


生徒会準備室のドアが開いた。



壬生先生いたんだ・・・。


「ごめん。また聞こえてた(笑)」


そう言って近寄ってくる先生。


「邪魔しないで下さいよ(笑)」


吉岡先輩は冗談っぽく言った。


「抜けがけはダメだぞ吉岡(笑)
 と、いうことで俺も
 ペンで対抗だ(笑)
 俺のペンはなんと新品だぞ?(笑)」


「なんかの景品のペン?(笑)」


吉岡先輩が言った。


「バカ!違うよ!
 この色はお気に入りで
 何本かストックしてあるんだよ!(笑)」



そう吉岡先輩に抗議して


私にペンを差し出した。




細字タイプのエメラルドグリーンの

ジェルインクペン。



「おめでとう。」



そう言ってやさしく微笑んだ先生。




「ありがとうございます。」



私も微笑んで先生にお礼を言った。



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