電子警察官AKI ~3日間の命~
1日目 システム起動

○完成

柊冬樹(ひいらぎ ふゆき)、それが私の名前だ。


職業は簡単に言うと科学者、称号は博士だが肩書き等はない。


今参加している"対サイバーテロ計画"では基本のプログラムを任せられた。

つまり、AIの作成だ。



AI…artificial intelligence.の省略。

意味は人工知能。


この世代では別に珍しくもない単語だ。


ロボットが歩く姿を画面越しに見て、「へぇ、凄いね」で済む人間が多くだろう。


科学やネットワークが普及した今、所詮その程度の反応が最早正常化している。



形だけの称賛や名声は、私にはいらない。


ソレが今後どのように活躍し、何を成し遂げ、どう結果を残すのかが私にとって重要なのだ。



それだけに、今回の計画には力が入った。


まるで人間の遺伝子を0から造るように、私は丁寧且つ慎重に作成した。



朝から晩まで、ろくに休息や睡眠もとらずに。


一度熱中すると、最後まで周りが見えなくなるのは私の癖だ。



最も、誰も気にはしないがな。


私には、29にして家族がいない。
妻や子供はおろか、信頼できる友人もいないのだ。



別段、寂しく等ないしその方が作業に支障をきたさないので非常に楽だ。





その甲斐あって、今夜ついに試作のAIが完成した。





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