電子警察官AKI ~3日間の命~

○意志

時が過ぎた。

もう、AKIに残された時間は少ない。

こいつは後数時間後に、自動的に消える。



『博士、お願いがあります』


「お願いだと…?お前がそんな事を言い出すとはな…言ってみろ」


『僕にもう一度、あのハッカーと闘わせて下さい』


「…!! 何だと…?」



あの最強ハッカーと、再び刃を交えるつもりか?

無茶だ、これ以上闘って何になる。

消せるデータはもうない、後はお前の寿命をより縮めるだけだぞ。



『それでも、最期まで電子警察官としての役目を果たしたいんです』


「……………」



私の考えている事が伝わったのか、それともデータが壊れたのか、AKIは勝手にそんな事を言い出した。

私は重たい腰を上げて、AKIの元へ歩み寄った。



「AKI、お前は放っておいても後数時間で消去する。残された時間を、無駄にするつもりなのか」


『僕は電子警察官です、市民のコンピューターを守り、ウィルスに打ち勝ち、ハッカーを逮捕するのが僕の仕事です』


「…………そうか、わかったよ」




私は根負けしてAKIの申し出を受け入れた。


再び、あの電子回路の入口を開く。

AKIは慎重な面持ちで、私に言った。



『博士、僕は必ず犯人を逮捕します』
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