電子警察官AKI ~3日間の命~

○試験

小林を追い返し、私は再びAKIと向き合った。


無表情で可愛いげのない奴だ。

必要性はないが、表情変化にも手を加えるか。


キーを叩き、カーソルを動かす。

そして、試しに喜怒哀楽を加えてみた。



「答えろ、AKI。お前は今どんな気持ちだ」


『サイバースペースが狭く、不快な気持ちです』


「そりゃ悪かったな。容量のほとんどをお前に注ぎ込んでるんだ、我慢しろ」


『了承しました』



サイバースペースねぇ…電子空間がこいつの居場所だし、仕方ないと言えば仕方ないな。

広い家を持つには、まずこいつの容量をあれこれ弄くらなくちゃならないし、金も掛かる。


一々そんな不満に付き合ってられるか。



「おい、早速だが試験をしてもらう。近辺のハッカーを探れ、見つけ次第そいつのプロフィールとハッキング記録を徹底的に解析して私に公開しろ」


『了承しました』



そして、AKIは画面から消えた。

背景に映った電子空間はあくまでレプリカだ。


一から造るのは面倒なので、どっかのフリースペースから取り込んだ画像を立体的に改良した。


さて、あいつが仕事をしてる間に少しは手を加えてやるかな…。



『博士、近辺のハッカーを36名発見しました』


「…いきなり現れるな、心臓に悪い」


『了承しました。以後気を付けます』
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