桜雪(仮)
「よく残ってたね…。」
ボソリと呟くと中を読む。
[弘化三年八月、‘影’により真神本家が襲撃される。
襲撃により真神本家の人間はほぼ死滅。
しかし真神家総帥に当たる人物が一人の女性を蝦夷地へ術で飛ばす。
真神家代々晴明様のお言葉として伝えられている伝説。
『日本の世が闇に包まれた時闇の中に一輪の華が咲く。
華は人々を鬼と共に闇を終焉へと導かん。』
今後この言い伝えは今後真神本家に嫁ぐ女性か真神家を継ぐ女性にのみ伝える。]
「なるほど…確かに本家にいる女はあたしだけだし…。
おばあちゃんも嫁いできたんだもんね。
…それで…いまいちあたしが幕末に行く理由が分からないんだけど。」
「―――あなたなのよ。」
「?」
「これは口頭でしか伝えられていないこと…。
『‘華’は長い黄金の髪、グレーの瞳を持つ者。』…。」