きみといっしょに




「千鶴ちゃんっ」



わたしの後ろからノートを覗き込んで
口を出してきたのは、千鶴ちゃんだった。




「え、そおなんだっ。
和泉くんのちづるって鳥のつるだから、同じかと思ってたぁ!」



ちょっと派手でギャルっぽいこの人は
…そう、古川さん。




古川さんは千鶴ちゃんを見てちょっと顔を赤くした。



「俺の名前覚えるくらいならクラスの奴らの名前も覚えろよ。
ほら、ゆづ帰るぞ」



「ぇ、千鶴ちゃん部活は?」



「今日はサボるよ」




えぇ、いいのかな?




あ、千鶴ちゃんに置いてかれちゃう。




「何で今日はサボるの?」


「別に、気分だよ」




ふーん…。




「あのさー、ゆづ、
もうちょっとキビキビ反応できるようになったら?」



廊下を歩きながら言う千鶴ちゃん。




キビキビ…かぁ。




「うーん…わたしの中ではキビキビ動いてるんだけど…
みんなが速いってゆーか…着いていけないんだよね」



って、これがいけないんだけど。


やっぱのんびりしてるのがわたしだし…。



「ほら、さっきのだって、俺がいなかったらお前、
反応できなかっただろ?」



「それはぁ…」




そうなんだけど。



あれもギャルの古川さんに怖じけずいて反応できなかったんじゃなくて、
わたし自身のペースが遅くて反応できなかったんだよね…。





「お前は俺がいなきゃ何もできないわけ?
ちょっとは1人で行動できるようになれよ」





千鶴ちゃんがチラッと冷たい目でわたしを見る。




わたしは何も反論できないまま、家路についた。







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