きみといっしょに
こんな高野くんが殴りあいなんて想像つかない。
「あははっ、まぁ俺も男だしね。あ、電車来たよ」
「う、うん」
乗ると学生しかいなくて、少し席が空いていた。
「結弦座る?」
「ううん、大丈夫」
わたしたちは立ったまま話した。
「普通の兄弟ゲンカだったら、放っとけば自然と仲直りするんだけど
この歳で初めてってちょっと厄介かなー」
「うん…」
そうだよね…。
わたし…すごいことしちゃったんだ…。
「そんな深刻な顔しないで。大丈夫だって」
「…どうやって謝ればいいと思う?」
わたしがそう言って、高野くんの顔を見上げると驚いた顔をしていた。
「え?自分から謝るつもりなの?」
「え??だ、だめ??」
だってわたしが怒鳴っちゃったし…。
「いやいや、結弦が謝ることないよ。あっちが先に怒鳴った訳だし。しかも男だしね」
高野くんは指折り数えて
噂に左右されて勘違いしてるし、と付け足した。
「じゃ、じゃあどうしたらいいの?」
千鶴ちゃん頑固だから謝ってくることはないとおもうし…。
これじゃあ一生仲直りできないよ??
「それはね、仲直りできるように仕向けちゃうんだよ」
高野くんは今日1番の楽しげな顔で言った―。