きみといっしょに
「なんで和泉さんは千鶴の顔を見つめてんの?鏡見ればいいじゃん〜」
永見くんが大きく口を開けて笑う。
「永見くん…苦手…」
近くにいる千鶴ちゃんにしか聞こえない小さな声で呟く。
永見くん気づいてないのかな?
わたし、永見くんが同じクラスで千鶴ちゃんと仲が良いから
顔知ってるけど、わたし、永見くんに喋りかけたことないんだよ??
わたしってすっごくすっごく人見知りなのに、
そこまで馴れ馴れしくされるの、とっても嫌。
わたしが内心でプンプン怒ってると
千鶴ちゃんが身を屈めて、わたしの耳のそばで
「知ってる」
って呟いた。
その瞬間わたしは千鶴ちゃんの顔をキラキラした目で見つめる。
わたしの言いたいこと千鶴ちゃんに伝わってるよね?
『千鶴ちゃんなら気づいてくれてると思ってたっ』
ってね。
だってわたしたち生まれたときから2人で1人だから。
千鶴ちゃんはわたしの気持ちをわかってくれるし、
わたしも千鶴ちゃんの気持ちがわかる。
あー、今内心で怒ってんだろうな、
とかすごく些細な感情がわかるだけなんだけど、自分の気持ちを誰かにわかってもらえることは
すごく嬉しいし、安心する。
多分、千鶴ちゃんも同じ気持ち。