きみといっしょに



あれはまだ小学…3年生だったかな。



そのときから千鶴ちゃんはいじわるで、わたしはトロかった。



小学生のときから2人で通学してたんだけど、
その日の朝は、千鶴ちゃんがわざと朝の支度をわたしより何倍も速くして、先に家を出てしまった。



わたしは千鶴ちゃんに追い付きたくて
朝ごはんもそこそこに家を飛び出した。




そしてわたしは自転車とぶつかって事故にあった。



事故って言っても足をねんざしただけの軽い怪我だったんだけど、


私を置いていった千鶴ちゃんはお父さんにすごく怒られた。



今も昔も無口なお父さんの怒鳴り声はそのときしか聞いたことがない。



家中に…いや、ご近所さんにも筒抜けだったであろう…



『男は女の子を守るもんだ!!!』



この言葉。



それから千鶴ちゃんはわたしを置いて先に行ってしまうことをしなくなった。


高校生になった今も、毎朝トロいわたしの準備を待ってくれる。






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