I believe you☆
【さっきは、友達と言いましたが風恩寺グループの娘
風恩寺 鈴蘭と言います。】
口に手を当てて驚きを隠せない様子。
それは当たり前だと思う。
急に家に来た人が風恩寺って名乗り
おまけに、風恩寺グループの娘と言ったから。
【朝倉が風恩寺の執事をしていることを
知っていましたか??】
【はい。知っていました。】
朝倉、言ってあったんだ。
【咲々さんはなぜアメリカに行く日、
朝倉との別れを決意したのですか??】
あたしが一番聞きたかったこと。
咲々さんは、ノートにゆっくりだけど一語一語大切に
書き始めた。
【初めて瞬とあったとき私は彼に一目惚れをしました。
私のピアノを真剣に聞いてくれた彼が愛しくて。
告白された時、とても嬉しかった。
今でも、しっかり覚えています。】
ノートをめくる音はあたししか聞こえないけど
とても悲しい音に聞こえる。
【でも、神様は時として残酷なカードを選ぶんです。
なにより、聴力がなくなることは、命がなくなることと同じ気がしました。
音が聞こえないので、大好きなピアノの曲が弾けても聞こえない。
こんな、辛いことはありません。】
あたしもピアノが好きだから咲々さんの気持ちがよく分かる。
音が聞こえなくなったら、あたしも辛い。