花とキミ*秋・冬
「‥ごめんね。」
しばらくして、私を離した尋翔さんは
呟くように私に言った。
「いえ‥」
こちらこそ、ごめんなさい。
「親には、ちゃんと言っとくからさ
花菜ちゃんには、キッパリ断れたから
結婚とかは遠くなりそうだよ。ってさ。」
そっか‥私たちは、もともと見合い相手
だったんだ。すっかり、忘れてたよ‥
「あの‥」
「しー‥謝らないでね?」
私の考えを読んだかのように、
尋翔さんは私の唇に人差し指を当てた。
「どーせ言われるなら、
ありがとうがいいかな。」
そう言って尋翔さんは、指を離した。
「ありがとうございます。」
ごめんなさいの意味も込めて、
ありがとうございます。
「ん‥。
じゃあ、花菜ちゃんこれからは
友達としてよろしくね。」
私の頭を軽く叩いて、尋翔さんは
行ってしまった。
尋翔さん‥私は、あなたを忘れません。
そして、これからもお願いします。