永遠の約束(深青編-序章-)
「ハア。結局、いつもと同じだわ」
さゆりはため息をつきながら入ってくる。
「唯香。今日、何かあるの?」
新聞から目を上げ、深青は母の方を見る。
「今日、実力考査なのよ。だから、早く行って少しでも勉強しておくんですって」
「だから、早かったのね。懐かしいな。そっか、中学生だったら今日は試験だったのか。」
「そうよ。だけど、今日からあなたは高校生。制服も大人っぽくなったし、いろいろと青春してきなさい!」
にこにこと元気よく言う母を見て、なんとなく苦笑してしまう深青。
「青春って……。お母さん、なんだか言ってること古臭い」
「あら! そう? でも、まあ、楽しみなさい!」
「うん。ありがとうね。お母さんには本当に感謝してる。お父さんが亡くなってから女で1つで私と唯香を育ててくれて。……本当に、ありがとう」
深青は頭を下げる。
「何言ってるの。親が子供を育てるのは当然でしょ。でも、そう思うならずっと元気で幸せでいてちょうだい。それが、お母さんは1番うれしい」
「お母さん………」
母の言葉にじ~んとする深青。