永遠の約束(深青編-序章-)
「式だから………、ペットじゃないから。それに、危険がなくなったら式は外すよ」
「え? 別にずっと付けてくれててもいいけど………」
深青の容赦ない言葉に大也は素直に本心を言う。
「そうだよ。大也に必要なくなったらあたしに頂戴!」
みゆきはあきらめきれないのか深青に食いつく。
だけど、深青は一歩も引かない。
「それは駄目なんだ。この子は私のいわば分身だから。それに、この子は本体じゃないの。本体は別のところに時が来るまで眠っているの。あまり、長い間引き離しておくわけにはいかないから。今回は特別」
「………………」
みゆきは深青の言葉に黙り込む。
全てを納得することなんてできない。
今、話してたことだって半分くらいは理解できないことがある。
分身や、本体や全く日常からは出てこない言葉だ。
それを急にわかれと言う方が無理と言うものだ。
みゆきの複雑な表情から深青はそんなみゆきの心の中が痛いほどわかっていた。
「みゆきちゃん、無理に理解しようと思わなくてもいいよ。理解できないことも現実の常識の中では私の言っていることはとんでもないことだもん。納得できなくて当たり前。ただ、これだけは覚えておいて。今、正木くんは誰かわからない人に狙われているということ。それを阻止するためにはこの子と力が必要だということ」
「そんなことわかってる! 頭では理解してるもん。でも…………なんだかわかんなくなってきて………」
頭を抱えてみゆきは体を小さくする。
そんなみゆきの肩を深青はそっと抱く。
「ごめん………。ちょっと、席を外してくれる?」
優奈と大也に深青は告げる。
大也は何がなんだかわからないといった感じで逆に優奈はすぐに納得し、戸惑っている大也の首根っこを掴み、無理やり連れて行く。
「おい、ちょっと、夏川!」
引きずられながら、優奈に文句を言う大也だがその声に優奈が答えることはなかった。